第70回 全日本吹奏楽コンクール
2022年度の第70回吹奏楽コンクール〈中学・高校部門〉の全国大会が、10月22日、23日に名古屋国際会議場で開かれます。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため2020年の第68回は中止となり、翌年2021年の第69回は無観客開催でした。
今年は3年ぶりの有観客での開催です。
まだまだ制限があるとはいえ、少しずつ従来のスタイルに戻りつつある吹奏楽のコンクール。
私達保護者にとっても、会場で生の演奏を聴けるのは嬉しいことです。
全国大会までの道のり<香川県>
娘の所属している吹奏楽部は、一度も全国大会に出場したことはないのですが、とにかく、この最高峰の大会に出るには、長い道のりを勝ち抜かなければなりません。
私の住んでいる香川県を例にとると、次のようなルートをたどります。
香川県大会
まず夏休みの前半に香川県の大会があります。
どの学校も県予選で金賞をとること(吹奏楽あるある:吹奏楽のコンクールでは金賞と銀賞を聞き間違えることのないように、ゴールド金賞と呼ぶらしいです。コロナ禍の今は、結果はWebで発表されるので聞き間違いはありませんが、伝統的に皆、金賞のことをゴールド金賞と呼びます。何だか特別感がありますね。)を目標に練習に励みます。
県予選でゴールド金賞を受賞するのがまず第一の目標ではあるけれど、金賞を取ったら、すべての学校が次の大会に進めるわけではありません。
それぞれの部門で次の大会代表枠が決められており、娘の出場した人数50名位以内の中学A部門で四国支部大会に進めるのは、6団体以内という規定がありました。
今年はエントリー22校中、9校が金賞を受賞しています。
その中で、次に進んだのは6校。
つまり、3校は金賞を受賞したけれども、次には進めないという、とでも悔しい結果に終わっています。(吹奏楽あるある:この、金賞を受賞しながらも次の大会に進めなかった団体の金賞をダメ金と呼びます。ちょっとネガティブな呼び方なので私は好きではありません。ダメと言っても、金賞を受賞するほどの実力があったのですから、あと一歩及ばなかったというだけで、全然ダメではないんです。翌年の後輩たちへ期待を込めて、「今年はダメ金だったけど、来年は頑張って」という風に使うのなら正解です。他校のことを指して使っては失礼にあたります。)
香川県は小さい県なのでエントリー数が少ないですが、大都市圏では、もっともっと狭き門のはずです。
いかに、予選を勝ち抜き次の大会に進むのが大変なことか、お判りいただけると思います。
四国支部大会
見事に代表金賞を勝ち取った学校は、次は夏休みの後半に行われる四国支部大会に出場します。
残念ながら香川県から出場したA部門の中学校は全国大会への切符は手に入りませんでしたが、高校A部門で香川県の常連校である坂出高校と高松第一高校が出場するので、全国大会がとても楽しみです。
夏休みの部活
暑さ対策、プラス感染対策をしながらの真夏の合奏練習は、本当に大変だったと思います。
本来なら密で行うべき全体練習を蜜を避けながら行い、その中でも周りの音を聞く、音程を合わせる作業は、心が通っていないと絶対うまくいきません。
今なお、終わりの見えないコロナ禍であることは大変なことだけれども、このような時代にみんなで部活に取り組んだ経験は、誰にも負けない強みになると思います。
聞き取りにくい音を一生懸命聞いたこと、オンラインで音を合わせたこと、アイコンタクトを頑張ったこと、将来必ず役に立つ日が来ると信じています。
今、吹奏楽部に入ろうかなと思っている学生さん、保護者さん。
吹奏楽部は、文化部だから楽勝だよねと思っていたら、それはちょっと甘いかもしれません。
私自身、学生時代は運動部だったので、運動部が参加する総体のことしか知らず、吹奏楽部や合唱部が、真夏にこのように熱い大会を繰り広げていることは知りませんでした。
そして、冒頭に書いた全国大会に出場する学校は、あの真夏のモチベーションを今なお持ち続けて、さらなる高みを目指していると思うと、本当に尊敬しかありません。
コンクール課題曲
2022年度の課題曲は次の5曲でした。
- やまがたふぁんたじぃ~吹奏楽のための~(杉浦 邦弘)
- マーチ「ブルー・スプリング」(鈴木 雅史)
- ジェネシス(鈴木 英史)
- サーカスハットマーチ(奥本 伴在)
- 憂いの記憶ー吹奏楽のための(前川 保)
今年のコンクールの課題曲5曲のうち、私はマーチ「ブルー・スプリング」(鈴木雅史)が大好きです。
技術的なことはわかりませんが、吹奏楽ファンとして、また、中学生の子供を持つ親として、このマーチ「ブルー・スプリング」はとても心地よく響きました。
「ブルー・スプリング」、ブルーは『青』スプリングは『春』あわせて『青春』。
コンクールに出場した部員も、惜しくも部内でのオーディションに落ちた部員も、とにかく楽器を運んだり設営をしたりの裏方だった部員も、みんなこの曲を聴くと、間違いなく熱かった2022年の夏の青春を思い出すはずです。
吹奏楽初心者で校内オーディションにもまだまだ縁のない娘でさえ、今年の夏は本当に忙しい夏でした。
朝早くから部活に出かけ、コンクールメンバーの手伝いをして重い楽器を運び、室内で部活をしていたと思えないくらい汗だくで帰宅していました。
コンクールで次の大会に進めなかった娘たちの吹奏楽部では、夏休みの終わりに定期演奏会を開き、そこで三年生は引退です。
定期演奏会でコンクール曲をもう一度聴き、やっぱりブルー・スプリング好きだなあと再確認し、やり切った感にあふれている三年生を見ていると、自然に涙があふれてきました。
おわりに
三年生の引退により少人数になった部員たちは、次は年末から年明けにかけて行われるアンサンブルコンテストに向けて頑張っています。
熱い冬に向けての闘いが始まりました。
その様子は、また別の記事で。
吹奏楽部に入部して半年の娘、初めて吹奏楽の世界を覗き見している母、これからもまだまだはじめてのことばかりだと思いますが、吹奏楽部にはいろうかなと思っている人の、少しでも参考になれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。